オートロックの締め出しトラブルを未然に防ぐためには、日頃からの意識づけと、物理的な備えの双方が不可欠です。まず意識の面で徹底すべきなのは、ドアを開ける際、あるいは外に出る際の指差し確認です。鍵、財布、スマートフォン。この3点セットを指で触れて確認するまでは、決してドアを閉めないというルールを自分自身に課してください。特に、朝の忙しい時間帯や、電話をかけながらの外出、あるいは考え事をしている最中は、脳のワーキングメモリーが他の作業に占有されているため、無意識の動作である施錠ミスが起こりやすくなります。玄関のドアノブに手をかける前に一呼吸置く。このわずか3秒の習慣が、その後の数時間と数万円の損失を防ぐことになります。 物理的な備えとして最も推奨されるのは、スペアキーの賢い配置です。スペアキーをすべて家の中に保管しておくのは、予備としての機能を果たしていません。信頼できる親族や、近所に住む親友に鍵を1本預けておくことが、最も確実なセーフティネットになります。もしそのような相手が近くにいない場合は、銀行の貸金庫や、あるいは自身の自家用車の中にスペアキーを隠しておくという方法もあります。車の中に鍵があれば、車自体の鍵さえ持っていれば家に入ることが可能です。ただし、郵便ポストやメーターボックス、玄関マットの下といった場所に鍵を隠すのは、防犯上の観点から絶対に避けるべきです。空き巣はこうした場所を真っ先にチェックするため、締め出し対策が空き巣への招待状になってしまっては本末転倒です。 最近注目されているのが、スマートロックと暗証番号パッドの組み合わせです。多くのスマートロックメーカーが、ドアの外側に貼り付けるタイプのテンキーパッドを別売りしています。これを導入すれば、万が一スマートフォンも鍵も持たずに外に出てしまったとしても、自分の頭の中に記憶している番号だけで家に戻ることができます。指紋認証機能付きのモデルであれば、さらに確実性は高まります。また、アナログな解決策として、予備の物理キーをコインケースやパスケースに常に入れておくという方法もあります。通勤や外出の際に必ず持ち歩くものの中に、目立たない形で鍵を忍ばせておくのです。これならば、特別な準備を意識せずとも、常にバックアップを持ち歩いている状態を作ることができます。 さらに、マンションの管理会社や火災保険の付帯サービスの内容を、事前にスマートフォンの連絡先に登録し、かつ紙のメモとしても持っておくことをお勧めします。締め出された直後は、インターネットで検索しようにもスマホが手元にないことが多く、公衆電話を探すのにも一苦労します。財布の中や、玄関の近くの目立たない共有スペースに、緊急連絡先を書いた小さな紙を隠しておくのも1つの知恵です。締め出しは、起こるべくして起こるトラブルです。それを100パーセント防ぐことは難しいかもしれませんが、起こった後の被害を1パーセントに抑えることは、事前の準備によって十分に可能です。未来の自分が困り果てて泣きそうになっている姿を想像し、今の自分ができる最大限の投資と準備を整えておきましょう。