元鍵を全てなくしてしまったけれど、幸いなことに「キーナンバー(鍵番号)」だけは控えてある。そんな場合、あなたは非常に幸運です。このキーナンバーさえあれば、鍵穴から鍵を作るという複雑な作業を経ることなく、メーカーから新品の純正キーを取り寄せることが可能です。これは、最も確実で、精度の高い合鍵作成方法と言えるでしょう。キーナンバーとは、鍵の持ち手部分の金属に刻印されている、メーカー名と、それに続く英数字の組み合わせのことです。これは、その鍵の形状データを識別するための、いわば「個体識別番号」です。メーカーは、製造した全ての鍵のキーナンバーと、それに対応する鍵の設計データを、データベースで厳格に管理しています。そのため、キーナンバーをメーカーや、正規の代理店である鍵屋に伝えることで、彼らはデータベースを照会し、その番号に合致する、全く同じ形状の鍵を、工場で新たに製造することができるのです。この方法の最大のメリットは、その「精度の高さ」です。鍵穴から手作業で読み取って作る鍵とは異なり、メーカーの設計図通りに、最新の機械で製造されるため、誤差が全くない、100%完璧な純正キーが手に入ります。しかし、この便利な方法には、いくつかの注意点とデメリットも存在します。まず、第一に「時間がかかる」ことです。注文を受けてからメーカーで製造し、発送されるため、手元に届くまでには、通常でも2週間から4週間程度の期間を要します。その間、家に入れない、車を動かせないといった状況では、この方法は使えません。次に、「セキュリティ上の手続きが厳格である」という点です。誰でも簡単に注文できてしまっては、キーナンバーを盗み見られただけで、不正に合鍵が作られてしまいます。そのため、注文の際には、運転免許証などの身分証明書の提示や、鍵の所有者であることを証明する書類の提出が求められます。そして、最も重要なのが、「防犯性の高いディンプルキーなどでは、キーナンバーだけでは注文できない場合がある」ということです。これらの鍵は、セキュリティカードに記載された、別の登録番号も同時に必要となる「登録制」を採用していることが多く、このカードがなければ、たとえキーナンバーがわかっていても、メーカーは注文を受け付けません。
キーナンバーから鍵を作る方法とその注意点