元鍵を全てなくしてしまった時、その絶望的な状況を救う、最後の命綱となり得るのが「キーナンバー(鍵番号)」です。この、普段はあまり意識することのない英数字の羅列が持つ重要性と、それを万が一の事態に備えて、どのように保管しておくべきか。その正しい知識は、あなたの財産と安心を守るための、重要な防犯対策の一つと言えます。キーナンバーは、その鍵の形状を特定するための、メーカーが定めた固有のIDです。これさえあれば、メーカーに問い合わせることで、新品の純正キーを、いわば「再発行」してもらうことが可能です。これは、鍵穴から手探りで作る鍵よりも、はるかに精度が高く、確実な方法です。では、この重要なキーナンバーは、どこに記載されているのでしょうか。まず、最も分かりやすいのが、「元鍵(オリジナルキー)」の持ち手部分の金属に打たれた刻印です。メーカーのロゴと共に、英数字が刻まれています。次に、新築時や、鍵を交換した際に、鍵と一緒に渡される、小さな金属製の「キーナンバータグ(プレート)」にも、同じ番号が記載されています。そして、防犯性の高いディンプルキーなどの場合は、クレジットカードのような形状の「セキュリティカード」に、キーナンバーとは別の、より重要な「登録ID番号」が記載されていることがあります。このカードがなければ、メーカーは合鍵の注文を受け付けません。これらの情報が、いかに重要かお分かりいただけたでしょう。だからこそ、その保管には、細心の注意が必要です。まず、絶対にやってはいけないのが、キーナンバータグを、普段使う鍵と一緒のキーホルダーに付けて持ち歩くことです。もし、そのキーホルダーごと落としてしまったら、鍵と、その鍵の設計図であるキーナンバーを、セットで他人に渡してしまうことになります。キーナンバータグやセキュリティカードは、鍵とは必ず別の場所に、大切に保管しなければなりません。最も安全な保管場所は、自宅の、普段は開けない引き出しの奥や、金庫の中などです。また、その番号を、手帳や、スマートフォンのパスワード付きメモアプリなどに、自分だけがわかる形で記録しておくのも、有効なバックアップとなります。キーナンバーは、最後の切り札です。その存在を意識し、正しく管理すること。それが、未来のあなたを救う、賢明な備えとなるのです。
キーナンバーの重要性と正しい保管方法